鉄骨工事のにおける現場施工!
アンカーボルト・建て方・高力ボルト
鉄骨工事において現場施工は工場で加工した鉄骨部材を組み立てという作業がほとんどです。
現場の基礎に埋め込まれたアンカーボルトと柱を固定してから順次鉄骨部材を組んで高力ボルトで固定します。
鉄骨の建て方の施工管理の基準を解説します。
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アンカーボルト
アンカーボルトは構造耐力を負担する構造用アンカーボルトと構造耐力を負担しないで鉄骨建方時のみに使用する建て方用アンカーボルトがあります。
ベースモルタルの施工
鉄骨建て方の前には柱の下に高さ調整用にベースモルタルを施工します。
モルタルに接するコンクリート面はレイタンスを除去し十分に目荒らしをおこなってモルタルとコンクリートが一体となるように施工します。
モルタルは鉄骨建方までに3日以上の養生期間をとらなければなりません。
ベースモルタルの精度
中心塗りモルタルの大きさは200㎜角あるいは200 ㎜φ以上とします。
モルタルの塗り厚さは30㎜以上50㎜以下とします。
モルタルの仕上げ面は柱の建て方前にレベル検査を行います。
仕上げ面の精度は特記のない限り限界許容差で±5㎜以下とします。
後詰め工法に使用するモルタルは無収縮モルタルとします。
アンカーボルトの精度
水平方向のずれの限界許容差は、構造用アンカーボルトは±5㎜以下、建て方用アンカーボルトは±8㎜以下とします。
ナットの締め付け
アンカーボルトのナットは特記のない場合は六角ナットを使用します。
ナットの締め付けは建て入れ直後アンカーボルトの張力が均一になるように行います。
ナットの戻り止めは特記のない場合はコンクリートに埋め込まれる場合を除き2重ナットを用いて戻り止めを行います。
その場合先端のネジが2重ナットの外に3山以上出るように施工します。
建て方
鉄骨の建て方、アンカーボルトの締め付けに際して柱脚部の鉄筋が支障となりやむを得ず一時的に鉄筋を折り曲げなければならないことがあります。
その時に鉄筋を無理に折り曲げたり不自然な形で押し広げたりせず、折り曲げ角度は30°を限界とします。
風速10 M 以上の場合は建て方作業を行わず作業を中止にする場合はタワークレーンの旋回装置はフリーにしておきます。
建て方は原則として一方向のみの屏風建てを避け、横架材や仮ブレースでつなぎ、1日の作業量は必ず四角になるように組み立てます。
建て方時に使用する仮ボルトは、中ボルトなどを用い、ボルト1群対して、高力ボルト継手では1/3程度かつ2本以上、混用継手及び併用継手では1/2程度かつ2本以上をバランスよく配置して締め付けます。
溶接継手におけるエレクションピースなどに使用する仮ボルトは高力ボルトを使用して全数締め付けます。
本締めに用いるボルトを仮ボルトに使用してはいけません。
本設のターンバックル付き筋交いを有する構造物においては、その筋交いを用いて建入れ直しを行ってはいけません。
架構の転倒防止にワイヤーロープを使用する場合はワイヤーロープを建て入れ直しように兼用できます。
鉄骨建方の施工精度
名称 | 管理許容差 | 限界許容差 |
建物の倒れ(建物高さ H、上部水平長さ e) | e≦H/4000+7㎜かつ
e≦30㎜ |
e≦H/2500+10㎜かつ
e≦30㎜ |
工事現場継手階の階高の誤差 △H | -5㎜≦△H≦+5㎜ | -8㎜≦△H≦+8㎜ |
柱の倒れ e | e≦H/1000かつ
e≦10㎜ |
e≦H/700かつ
e≦15㎜ |
高力ボルトについての規定や検査
高力ボルト接合とは締め付け機を用いて接合部を強く締め付け、これによって生ずる接合部材間の圧縮力による摩擦力によって応力を伝達する形式の接合方法です。
高力ボルトの取り扱い
搬入
高力ボルトは梱包の完全なものを未開封状態のまま工事現場へ搬入します。
工事現場での受け入れ
工事管理者は受け入れ時に、荷姿、種類、等級、径、長さ、ロット番号などについて確認します。
搬入された高力ボルトがそのボルトに関するメーカーの規格品証明書に合致し発注時の条件を満足するものであることを確認します。
高力ボルトは雨水、塵、埃などが付着せず温度変化の少ない適切な場所に保管しネジ山などを損傷しないように丁寧に扱います。
ボルトの予長はネジ山が1〜6山の範囲で残るものでなければなりません。
摩擦面の処理
摩擦接合で摩擦力が生じる摩擦面は組み立てに先立ち黒皮、浮き錆、じんあい、塗料、油類、その他摩擦力を低下させる付着物は必ず除去します。
トルシア形高力ボルト
締付け施工一般
セットを構成する座金及びナットには裏表があるのでボルトを接合部に組み込む時には逆使いしないように注意なければなりません。
トルシア形高力ボルトの締め付け作業
トルシア形高力ボルトの締め付け作業は一次締めマーキング及び本締めの3段階で行い、ボルト挿入から本締めまでの作業は当日中に終了することを原則とします。
一次締め
トルクレンチにより一定の力で締め付けます。
マーキング
マーキングは白マジックでボルト、ナット、座金、母材にマークします。
本締め
本締めはセンタースリープにてピンテールを掴み、反時計方向に回転させます。
アウタースリーブでナットを掴み、時計方向に回転させます。
ボルトとナットに逆方向の力が加わるので所定の軸力が出た時点でボルトのピンテールが切れます。
高力ボルトの締付け作業は部材の密着に注意して1群をなしているボルトの継手位置の中央から外に向かって行います。
締め付け後の検査
全てのボルトについてピンテールが破断されていることを確認するとともに一次締め後につけたマーキングのずれによって共回り、軸回りの有無、ナットの回転量及びナット面から突き出たボルトの予長の過不足を目視で検査し異常が認められないものを合格とします。
ナットの回転量に著しいばらつきの認められる群については平均回転角度±30°の範囲のものを合格とします。
不合格となったボルトは新しいものに取り替えます。
ナットとボルト座金などが供回り、軸回りを生じた場合やナットの回転量に異常が認められた場合またはナット面から突き出た余長が過大または過小の場合には新しいセットに取り替えます。
高力六角ボルト
高力六角ボルトはトルクコントロール法またはナット回転法で締め付けます。
トルクコントロール法とは摩擦接合に用いられ、高力ボルトの導入張力をトルク量で判定する方法です。
ナット回転法とは摩擦接合に用いられ高力ボルトの導入張力をナットの回転量で判定する方法です。
締め付け
一次締めはプレセット型トルクレンチ電動レンチなどを用いて一定のトルク値までナット回転させます。
一次締めの後マーキングを行い本締めではトルクコントロール法またはナット回転法で締め付けます。
締め付け施工法の確認
トルクコントロール法
5セットのボルトを任意に取り出して試験ボルトとします。
試験ボルトを軸力計に取り付け適切な締め付けトルクが得られるようにあらかじめキャリブレーションテストを行って調製されたボルト締付け機を用いて締め付けます。5セットのボルト張力の個々の測定値が平均値の±15%以内にある場合はその施工ロッドのボルトは正常であり締め付け施工法に問題は無いものと判断します。
ナット回転法
5セットのボルトを任意に取り出して締め付け、全てのセットのナット回転量が同程度なら問題はないものとします。
締め付け後の検査
トルクコントロール法
全てのボルトについて目視で検査し、異常が認められないものを合格とします。
ナット回転量に著しいばらつきの認めらる締め付け君についてはナットを追締めして締付けトルクの適否を検査します。
この結果、締付け施工法確認のための試験時に得られた平均トルクの±10%以内にあるものを合格とします。
ナット回転法による場合
全てのボルトについて目視で検査し、異常が認められないものを合格とします。
1次締め付け後のナットの回転量が120°±30°の範囲にあたるものを合格とします。
この範囲を超えて締め付けられたボルトは取り替え、ナットの回転量が不足しているボルトについては所定の回転量まで追締めします。
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