鉄骨工事の工場制作における施工管理!加工、溶接、超音波探傷検査

鉄骨工事

鉄骨工事の工場制作における施工管理!

加工、溶接、超音波探傷検査

 

鉄骨工事の工場制作について工場制作の流れ、鋼材材料、図面、加工組立、溶接、溶接検査方法、サビ止め塗装について解説します。

 

工場製作の流れ

 

工作図

現寸図

加工組立

溶 接

検 査

塗 装

鋼材材料

 

一般構造用圧延鋼材

SS 400 SS 490 SS 540

 

溶接構造用圧延鋼材

SM 400 A SM 400 B SM400 C SM 490 A SM 490 B SM 490 C SM 490 YA SM 490 YB

 

建築構造用圧延鋼材

SN 400 A SN 400 B SN 400 C SN 490 B SN 490 C

 

建築構造用圧延鋼棒

SNR 400 A SNR 400 B  SNR 490 B

SM-A:対策なし

SM-B:脆性破壊防止対策ー中、溶接性向上

SM-C:脆性破壊防止対策ー大、溶接性向上

SN-A:対策なし  小梁、間柱などに使用される。

SN-B:塑性変形能力向上、溶接性向上 柱、大梁などに使用されます。

SN-C:塑性変形能力向上、溶接性向上、板厚方向特性対策 接合部、ダイアフラムなどに使用されます。

 

鋼材についてはミルシートの他にミルマーク、ステンシル、ラベルなどを活用して品質の確認を行います。

 

工作図

 

工作図は設計図書に代わって制作、建て方に対する指示書的な役割を果たします。

 

・鉄骨の伏図、軸組図、部材リストなど

・鉄骨部材の詳細な形状、寸法、部材符号、製品符号、製品数量、材質など

・溶接及び高力ボルト接合部の形状、寸法、継手符号。ボルトの種類、等級など

・設備関連付属金物、鉄筋孔、仮設金物、ファスナー類など

 

現寸図の作成

 

現寸図は現寸工が工場の床面に実物大の原寸図を書きます。(原寸図は工作図を持ってその一部または全部を省略することができる)

 

現寸検査

 

現寸図を検査します。

 

原寸検査の際鉄骨製作工場で使用する鋼製巻き尺と現場で使用する鋼製巻き尺と誤差の確認を目的としてテープ合わせを行います。

 

型板及び定規取り

 

現寸作業で作成される型板は仕口、ガセットプレート、スプライスプレートなどの詳細を記入します。

 

定規には部材切断位置や取り付け位置を記入します。

 

けがき

 

現寸作業で作成した型板や定規を用いて鋼材に切断線、部材取付線、孔の位置、孔の 径、開先形状、折り曲げ位置などをマークする作業です。

 

けがき工がけがき針、ポンチなどを用いてマークします。

 

490N/m㎡以上の高張力鋼または曲げ加工される400N/m㎡などの軟鋼の外面にはポンチ、タガネによる打痕を残してはいけません。

 

加工組立

 

鉄骨の加工についても基準が定められており基準に沿って施工することが品質を確保するために必要になります。

 

切断

 

鋼材の切断方法は機械切断法、ガス切断方法、プラズマ切断方法などがあります。

 

ガス切断とする場合は原則として自動ガス切断機を使用します。

 

せん断切断する場合は鋼材の板厚が原則として13 mm 以下の場合です。

 

開先加工

 

開先加工はガス加工法、機械加工法、プラズマ加工法があり、普通は自動ガス切断機が使用されます。

 

孔あけ加工

 

高力ボルト用の孔あけ加工はドリルあけとします。

 

ボルト、アンカーボルト、鉄筋貫通孔などはドリルあけを原則としますが、板厚が13 mm 以下の時はせん断孔あけとすることができます。

 

ボルトと孔径の関係

種類 孔径D 公称軸径d
高力ボルト

溶融亜鉛めっき高力ボルト

d+2.0

d+3.0

d<27

d≧27

ボルト d+0.5
アンカーボルト d+5.0

 

摩擦面の処理

 

すべり係数が0.45以上確保できる摩擦面の処理方法は自然発錆もしくはブラスト処理のいずれかの方法とします。

 

自然発錆

 

摩擦面はディスクグラインダーなどにより黒皮などを原則としてスプライスプレート全面の範囲について除去した後、屋外に自然放置して発生させた赤錆状態を確保します。

 

ブラスト処理

 

摩擦面をショットブラストまたはグリッドブラストにて処理することとしこの表面の粗さは57μm Rz以上確保することが必要です。

 

歪みの矯正

 

常温加工で矯正する場合は、プレスあるいはローラーなどを使用します。

 

400N/m㎡級鋼、490N/m㎡級鋼を加熱矯正する場合の温度は下記を標準にします。

 

・加熱後空冷する場合 850〜900℃

・加熱後直ちに水冷する場合 600〜650℃

・空冷後水冷する場合 850〜900℃

 

曲げ加工

 

曲げ加工は常温加工または加熱加工とし加熱加工の場合は赤熱状態(850〜900℃)で行い青熱ぜい性域(200〜400℃)で行なってはいけません。

 

常温加工での内側曲げ半径は下記の表です。

部位 内側曲げ半径 備考
柱材や梁及びブレース端など塑性変形能力が要求される部位 ハンチなど応力方向が曲げ曲面に沿った方向である場所 8t以上 r:内側曲げ半径

t:被加工材の板厚

応力方向が上記の直角方向の場合 4t以上
上記以外 2t以上

 

溶接

 

組立について鉄骨を溶接で組み立てることで耐震性、耐久性の高い構造物にするのですが、溶接についても基準に沿った施工を施すことこで一定の品質を確保することが必要になります。

 

組立溶接

 

組立溶接は本溶接する前段階での形を固定するための溶接です。

 

被覆アーク溶接あるいはガスシールドアーク溶接で行います。

 

組立溶接に従事する溶接技術者は JIS の試験に合格した有資格者とします。

 

組立溶接は組立、運搬、本溶接作業において組立部材の形状を維持し、かつ組立溶接が割れないように必要で十分な長さと4ミリ以上の脚長を持つビートを適切な間隔で配置しなければなりません。

 

組立溶接のビード長さ

板厚 組立溶接の最小ビード長さ
t≦6 30
t>6 40

 

組立溶接は本溶接と同様の品質が得られるように施工します。

 

被覆アーク溶接

 

心線(溶着金属)の周りを被覆材(フラックス)で包んだ溶接棒と母材との間に電圧を加えてその間に生ずるアーク熱により母材および心線を溶融させて溶接する方法です。

 

半自動アーク溶接

 

溶接ワイヤは自動的に供給されますが溶接トーチ(アーク手溶接のホルダー)の操作は手動なので半自動溶接と言います。

 

ガスシールドアーク半自動溶接は防風措置を施した場合を除き、風速2メートル以上ある場所での溶接作業は行なってはいけません。

 

自動アーク溶接

 

潜弧溶接あるいはユニオンメルト溶接と呼ばれ自動溶接の代表的なものです。

 

開先上に盛り上げた粒状のフラックスの中に裸の電極ワイヤを突っ込んでアーク溶接を行う方法でワイヤの供給、アークの調節及び移動を自動的に行います。

 

エレクトロスラグ溶接

 

エレクトロスラグ溶接は建築鉄骨において主に溶接組立箱型断面柱のダイヤフラムの溶接継手に採用されています。

 

電気抵抗発熱によりワイヤ及びノズルを溶融すると同時に高温スラグの対流により接合される母材開先面をも溶融して溶接が進行していく方法です。

 

スタッド溶接

 

スタッド溶接とは鋼棒を母材に植え付ける方法でアーク溶接の一種です。

 

溶接法の原理はスタッドを母材に接触させて電流を流し、次にスタットを少し母材から離してアークを発生させ溶融したところで押し付けて溶着させる方法です。

 

梁フランジに取り付けスラブと梁を一体化させる合成梁を構成するときに使用します。

 

溶接の注意点

 

・溶接の欠陥は始端と終端に出やすいです。

・開先内に行う溶接には、両端に継手とほぼ同じ形状で母材と同厚のエンドタブを組立溶接して母材部分を健全に保ちます。

・エンドタブを取り付ける場合には裏当て金に取り付けます。

・隅肉溶接の端部は滑らかにまわし溶接を行います。

・スカラップという溶接線の交差を避けるために一方の母材に設ける扇状の切り欠きを設けます。

・気温が-5℃を下回る場合は溶接を行ってはいけません。

・気温が-5℃から5℃においては接合部より100 mm の範囲の母材部分を適切に加熱して溶接します。

 

検査

 

鉄骨の構造材が確かな強度を確保できているか確認するために溶接個所を検査する必要があります。

 

現在では一定規模以上の鉄骨建築を建てる際には第三者機関の超音波探傷検査が必要になります。

 

溶接の検査の基準を満たすことで一定の品質を確保する必要があります。

 

まずは目視検査を行い基準を逸脱している箇所のみに対して適正な器具で測定します。

 

脚長、サイズ、のど厚の測定には専用のゲージを使用することすれば便利です。

 

溶接の部位や種類ごとそれぞれ適切な大きさでロットを構成します。

 

それぞれから10%に相当する部位数を検査対象としてサンプリングします。

 

それぞれの検査項目について全溶接線のうち合格となる溶接線が10%未満のときはそのロットを合格とします。

 

溶接部の試験方法

 

部位 試験名 試験の方法
表面欠陥 浸透探傷試験 非破壊試験
磁粉探傷試験
内部欠陥 超音波探傷検査
X線探傷検査
マクロ試験 破壊試験

 

マクロ試験

 

溶接棒切断し、鋼材の組織、溶け込み状態、熱影響範囲、欠陥など目視または数倍の拡大鏡で検査する方法です。

 

超音波探傷試験

 

高い周波数の超音波を溶接部内に送信し反射音の強さと伝搬時間から内部欠損の大きさと位置を評価するものです。

 

浸透探傷検査

 

一般的に行われている方法はカラーチェックと言われる簡単な方法で、溶接部に浸透性の良い赤い液を吹き付けて割れなどに浸透させた後、一度拭き取り、さらに白色になる現象液を吹き付け、これに滲み出た赤色により欠陥を発見する方法です。

 

磁粉探傷試験

 

磁紛が欠陥の周りにある程度幅広く付着して微細な表面欠陥を容易に検出することができます。

 

溶接部の溶接欠陥と補修方法

 

欠陥名 欠陥の状態 補修方法
アンダーカット 溶着金属の端部に沿って母材が溶けて溝となった部分 深さ0.1㎜以下

グラインダーで母材を削りすぎないように滑らかに仕上げる

深さ0.1㎜以上

グラインダーなどでアンダーカットを除去し整形した後、40㎜以上のビード長さの補修を行い、必要に応じてグラインダーで仕上げる

オーバーラップ 溶着金属が端部で母材に溶け込まないで重なっている状態 削りすぎないようにグラインダー仕上げを行うか、またはアークエアガウジングで除去し補修溶接を行う。
ピット 溶着金属表面に生じる小さな孔 アークエアガウジング、グラインダーなどによって削除した後、補修溶接する。
表面割れ 溶着金属表面の割れ 割れの範囲を確認した上で、その両端から50㎜以上はつりとって、船底型の形状に仕上げ補修溶接をする。
内部欠陥 スラグ巻き込み 溶着金属内部にスラグを巻き込むこと 非破壊検査記録に基づいて欠陥の位置をマークした後、アークエアガウジングによりはつりとって実際の位置を確認し欠陥の端部より20㎜程度除去し、船底型の形状に仕上げてから再溶接する。
明らかな割れの場合には端部より50㎜以上はつりとるものとする。
溶け込み不良 完全溶け込み溶接において溶け込んでいない部分があること
ブローホール 溶着金属内部に発生した空洞

 

塗装

 

錆止め塗装しない部分について

 

・現場溶接を行う場所及びそれに隣接する両側100 mm 以内及び超音波探傷検査に支障を及ぼす範囲

・高力ボルト摩擦接合部の摩擦面

・コンクリートに埋め込まれる部分

・ピンローラーなど密着する部分や回転、摺動面で削り仕上げした部分

・密閉となる内側

・耐火被覆する面

・組み立てによって肌合わせとなる部分

・気温が5度以下の時相対湿度が85%以上の時塗装作業は中止します。

 

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