気候や打設量や建物の用途によって適切な
コンクリートの種類
コンクリートのいくつかの種類があり、打設時の気候や打設量や建物の用途の分類によって複数の種類があります。
コンクリートの種類を解説します。
【現場監督】施工管理や一級建築士試験の試験に役立つ知識のまとめ
寒中コンクリート
日平均気温4℃以下のときに打設されるのコンクリートのことです。
期間
・打込み日を含む旬の日平均気温が4℃以下の期間
・コンクリート打込み後91日までの積算温度M91が840°D・Dを下回る期間
M91=Σ(σz+10)
積算温度
材齢Z日におけるコンクリートの予想日平均養生温度σZ(℃)に10℃加算した温度を1日相当とし、必要な強度を得るために期間Z(日)を総和したものである。
M=Σ(θz+10)(°D・D)
強度について
寒中コンクリートでは呼び強度を確保するために品質基準強度に構造体強度補正値を加えます。
構造体強度補正値は、コンクリートの打込みから材齢28日までの期間の予想平均気温θによって、次のように値が異なります。
コンクリートの打ち込みから材齢28日までの期間の予想平均気温が8度以上の場合は3N/mm2を加算します。
コンクリートの打ち込みから材齢28日までの期間の予想平均気温が8度未満の場合は6N/mm2を加算します。
材料について
セメントは普通ポルトランドセメントまたは早強ポルトランドセメントを標準とします。
混和はAE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤を使用しなければならず、状況に合わせて耐寒促進剤を使用することもあります。
製造・運搬について
材料の加熱は水の過熱を標準とし必要に応じて粗骨材、細骨材の加熱を行います。
(セメントは加熱してはいけません。)
荷卸し時のコンクリート温度は10℃から20℃の範囲とします。
養生について
打込み後のコンクリートは、断熱養生もしくは過熱養生になどの初期養生を行って、圧縮強度5.0N/㎜2が得られるまで凍結しないようにしなければなりません。
暑中コンクリート
日平均気温25℃を超えるときに打設されるコンクリートのことです。
期間
・打込み日を含む旬の日平均気温が25℃以上の期間
強度について
高温時では強度の増進が停滞する傾向にあるので暑中コンクリートの期間は構造体強度補正値を6N/㎜2としています。
材料について
遅延形の混和剤を使用して凝結時間を遅らせることで表面ひび割れの対策をします。
単位水量が増加する配合となるので、高性能AE減水剤を使用することで、単位水量の低減やスランプ値が小さくならないように対策します。
製造・運搬について
骨材の貯蔵設備は、必ずサイロや屋根付きのヤードを使用し直射日光を避け粗骨材には散水などで骨材を冷却するなど使用する材料はできるだけ低い温度のものを用います。
ミキサー車での搬送は遮熱性のドラムカバーを装着することで、コンクリート温度の上昇を抑えることができます。
コンクリートの荷卸し、打込み時の温度を35℃以下にするように規定されています。
コンクリートの練り混ぜから打込み終了までの時間は、外気温が25℃以上のときは90分以内、荷卸しから打込み終了までの時間は原則として30分以内と規定されています。
養生について
打込み終了後は、コンクリートが直射日光や風により表面が先行して乾燥することで発生するひび割れ出ないように速やかに養生を開始しなければなりません。
湿潤養生を行っても問題ない状態になってから散水や養生マットなどの方法で温度上昇や乾燥の対策をします。
水密コンクリート
水槽・プール・地下室などの圧力水が作用するような、特に水密性を要求される構造物に使用されるコンクリートのことです。
特徴
水密コンクリートは、水密性を高めるため透水性を低くさせなければなりません。
水セメント比は、50%以下としコンクリートの耐久性向上させ、単位粗骨材量を大きくして単位水量と単位セメント量は小さくします。
マスコンクリート
マスコンクリートは、ダムや橋桁、大きな壁といった大規模な構造物をつくる際に用いられる大規模に施工される質量や体積の大きいコンクリートのことです。
特徴
マスコンクリートは部材寸法が厚いため、コンクリートの表面部と内部に温度差が生じやすいので、水和熱が原因となる温度ひび割れがおこります。
温度ひび割れは内部拘束ひび割れと外部拘束ひび割れがあります。
内部拘束ひび割れ
部材厚が極めて大きい場合に発生しやすいひび割れで、コンクリートの体積が大きいほど表面部と内部の温度差が大きくなります。
材齢の初期段階に中心部の膨張量が表面部の膨張量を上回ることにより表面部にひび割れが発生します。
外部拘束ひび割れ
新設コンクリートが既設コンクリートに拘束されている場合に発生しやすいひび割れです。
打設後コンクリートは温度が降下する時期(1~3週間)に収縮を開始し、その際に拘束されていると収縮が妨げられ、引張力を受けひび割れが発生します。
発熱量の低いセメントが望ましく低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどを使用することが多いです。
練り混ぜ時には、氷や冷水を練り混ぜ水に使用したり骨材を冷却しておき、コンクリートの温度を下げ材料自体を冷却するプレクーリングという方法とあらかじめ施工箇所にパイプを通して冷水や冷気を流すことでコンクリートの温度を下げるパイプクーリングという方法があります。
また、あらかじめ設定した位置にひび割れ誘発目地をつくってその場所にあえてひび割れを生じさせて適切に処理する制御方法があります。
養生について
急激に温度は下げずにコンクリート部材内外の温度差が大きくならないようにして、コンクリート温度をできるだけ緩やかに外気温へ近づけるようにします。
急激な温度変化と乾燥を防止するために型枠を取り付けている期間を通常よりも長めにします。
高流動コンクリート
単位水量を従来のコンクリートより少なくして、高い流動性を確保したコンクリートなので部材形状が複雑な場合や過密鉄筋などによりコンクリートを密実に充填することが困難な場面でも、打設したコンクリートが隅々まで行きわたります。
特徴
従来のコンクリート材料に高性能AE減水剤や石灰石微粉末等の微粉末を加えて流動化します。
振動・締め固めなしで型枠のすみずみまで確実に充填できるので複雑な形状でも過密な鉄筋でも十分コンクリートが充填できます。
高流動コンクリートは液圧として打設するのでポンプ車の圧送や型枠への圧力が大きくなるので対策が必要になります。
養生
打設後の水浮きが少ないので表面が乾燥しやすいので乾燥を防ぐための散水や養生シートなどの初期養生をする必要があります。
高強度コンクリート
一般に使用されているコンクリートより、圧縮強度の高いコンクリートで主に高層建築物の柱部や土木構造物では橋梁などに適用され設計基準強度が36N/㎜2を超えるコンクリートと規定されています。
特徴
使用するセメント量が多く水が極端に少ないため施工時の作業性が悪いので施工に高い技術的な要素が必要になります。
セメント量が多いため、自己収縮は普通コンクリートより大きくなり中性化は進行が遅く耐久性が高いです。
セメント
一般的にセメントは、普通ポルトランドセメントを使用する場合が多いです。
超高強度コンクリートになると低熱ポルトランドセメントや使用することで水和熱は低く長期強度を高めたり、シリカヒュームセメントを使用することで流動性や強度を高めたりします。
混和剤
減水率が高めたうえにコンクリート流動性を高めるために高性能AE減水剤を使用します。
空気量
強度を確保するために空気量を下げて設計します。
施工
水が少ないので粘り気(粘性)が強く作業性が悪く、セメント量が多いので水和熱が高くひび割れしやすいです。
水分が少ないのでポンプ車での圧送負荷が大きく、上面が急激に乾燥するので均しが困難になります。
養生
打設後の水浮きが少ないので表面が乾燥しやすいので乾燥を防ぐための散水や養生シートなどの初期養生をする必要があります。
軽量コンクリート
普通コンクリートを軽くしたものが、軽量コンクリートです。
特徴
軽量コンクリートには1種と2種があり普通コンクリートと重さと最大強度の比較すると位以下になります。
普通コンクリート 2.3~2.4(t/m3) (Fc≦36)
軽量コンクリート1種 1.8~2.1(t/m3) (Fc≦27)せん断許容応力度が0.9倍
軽量コンクリート2種 1.4~1.8(t/m3) (Fc≦27) せん断許容応力度が0.9倍
特徴
人工軽量骨材は粒形が良く、粗骨材の最大寸法も小さいので材料が分離しにくく、内部に空隙を多く含み、含水量が多くなる性質があるので、スランプは21cm以下、空気量は人口骨材の凍結の抵抗性を考慮して5.0%と普通コンクリートより少し大きい値となっています。
軽量コンクリートを使用することでコンクリート工事自体は普通コンクリートよりも高価になりますが、自重が減った分地震力や基礎構造物への負担が減りトータルコストの低減が可能となります。
軽量コンクリートの熱伝導率は普通コンクリートの半分程度なので断熱性が高くなります。
軽量骨材中の水分が長期にわたってコンクリートの水和反応に寄与することができるので養生が困難な場合でも所定の強度が得られます。
施工
コンクリートポンプ車で圧送する時、人工軽量骨材が圧力により吸水しやすいので、スランプ低下や輸送管内でのつまりに注意するがあります。
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